満塁ホームラン

毎週楽しみに見ている「弱くても勝てます」も終盤。10話は夏の甲子園予選2試合目、強豪校堂学との対戦でした。
この10話が、とても良かった。
すごくすごく良かった。
これまでの話で出てきた仮説と実験ので、部員たちが作り上げていったそれぞれの戦略が実を結び、強豪校と「野球」ができるようになった。打撃に特化して打てるようになったことも、打たれることを前提とすることで打たれても平然としてることも、英会話という高偏差値プレイで揺さぶることも、岡留の足を使うことも、それを牛丸のずっこけ演技でサポートすることも、挙動不審さで動揺させることも、これまでのやってきたことが形になってて、それで得点につながるので、見ててとても気持ちいい。柚子と赤岩がちょっとずつ素直になっていったり、志方の思いがちょっとだけ報われてそれがナイスデッドボールでチャンスにつながったり、野球以外のところでもこれまでの伏線がぱたぱたと回収されていく。
その中で。
ここで打たないと試合が終わるといういちばん大事な場面での。満を持して、エースとしての白尾くんの登場。
城徳サイドの誰もが「打って」と願う。そして視聴者の誰もが思う「白尾くん、打て!」と。
そこでの満塁ホームラン。


かっこいい


白尾くんかっこいい!!!!!!!
なんとかっこいい。「打ってくれ」と誰もが願う場面でそれに応えるホームラン。願いを乗せてフェンスを越える白球。なんて美しい満塁ホームラン。


白尾くんて、2話で青志と対立して以降はそれほど見せ場はなかったのです。もともと野球がうまいがゆえに、苦手を克服するというドラマがなく、堂学エースとの因縁もあったけれど、直接対決はしてなかったし。それでも別に不満はなかったのだけど、やっぱり裕翔くんの見せ場が来るとうれしいわけです。
それが、このいちばん大事な試合の、いちばん大事な場面での、美しすぎる満塁ホームラン。
すばらしい。
本当に胸のすく展開。単純にスカッとする!「弱くても勝てます」というタイトルを具現化する小気味よさ。


そして、全身全霊でピッチャーと対峙する白尾くんの美しさ!!!
雨の中、全力で野球と向き合う白尾くんの顔のなんと美しいことか。
裕翔くんの美しさはますます研ぎ澄まされていきます。日に焼けて表情は精悍になり、焼けているのに内側から発光しているかのように光り輝いています。ヘルメットで目が隠れると、鼻筋と口元の美しさ、そして目の下の泣きぼくろが引き立って、本当に芸術品のよう。物語の展開の美しさと、映像の美しさ。美しさが螺旋状に絡まっていきます。


試合の終わり方も、せつなかったけれどすごく良かった。1話では、負けても惨めなだけで悔しくもなかったレベルの違う強豪校と、ちゃんと試合ができて、対戦相手を認められた。それはうれしい。だからこそ悔しい。部員たちの悔しさが伝わってきて、部員の涙にもらい泣きしそうになる。
うわああああああ、青春だなああああああって、心からせつなさを共有できた。
そして、それを全部受け止める青志先生ですよ。これまでは終始きゃんきゃんお説教していた青志が、今回はぐっと抑えて見守って、最後は一緒に泣いて、そんなのぐっときちゃうよ。
この図式がまんま、後輩俳優を引っ張ってく二宮くんの図と重なることにもぐっとくる。というか、だんだんチームがまとまって野球できるようになってく様子は、まんま部員役の子たちが仲良くなってく過程と重なるわけで。それを含めて、試合が終わって「ひとつの到達点を迎えた」ことに胸が熱くなる。


いろんな意味で、すごく良かった10話だった。


あと1話で終わるなんてさみしい。けど、むしろあと1話なにやるんだ?