デート8話はせつなかった

月9ドラマ「デート~恋とはどんなものかしら~」今週放送の第8話もおもしろかった!今回はとってもせつなかった!鷲尾くんの恋模様もせつなかったし、登場人物みんなの心情が露わになってきて、そのどれもがせつなくて胸がぎゅうっとなりました。

8話はバレンタインを巡る話とバレンタイン当日に行われる依子巧の結納が中心に展開されます。
冒頭は回想シーン。当然バレンタインに微塵の興味もない10歳の依子と、今回初登場、もらったチョコを横流しする13歳のかわいげのない巧。期待を裏切らない斜に構えっぷり。
そして場面は依子と巧の結納へ。やるからにはちゃんとやりたいという依子の気合いがみなぎっています。
ここで時は巻き戻って、依子の家に突撃して「結婚を前提につきあってください」と真剣に愛を告白する鷲尾くんのシーンに。もう、これは、最初からせつなかった。だって冒頭で依子巧の結納が行われてるんです。ということは、ここで鷲尾くんのプロポーズが受け入れられてるはずはない。鷲尾くんがふられることは既に明かされているのです。受け入れられない恋心を暴発させる鷲尾くん。うわあ、せつない。悲劇的であるほど美しく、そしてどこか滑稽。婚姻届をぐしゃぐしゃに破く鷲尾くん。契約書を「こんなもの!」とぐしゃぐしゃに破く鷲尾くん。ああ、そんなことをしても届かないのに!
「大事なのは愛情です」「自分とつきあってください。お願いします」
真剣告白する鷲尾くんかっこいい !!!!
「ごめんなさい。お断りします」と完膚なきまでにふられる鷲尾くん。「わたしはそれほどまでに好きではない」「わたしと谷口さんは等号で結ばれています。あなたとは不等号です」
なんという残酷な振られ方!!「あなたとは不等号」って、興味がないという事実が鋭い刃で襲いかかる。
しかし、ここで食い下がる鷲尾くん。「本当は恋してみたいんじゃないですか?」
このセリフはぐっときました。鷲尾くんの思いというより、物語の中の位置づけとして。このドラマのサブタイトルは「恋とはどんなものかしら」ですよ。タイトルだけでわかるわけです、このドラマのテーマは恋を知らない主人公が恋を知ることだと。その最重要テーマに踏み込む鷲尾くんですよ。そう、この物語を動かす中心は鷲尾くん!!!!その事実に震えました。
そしてここまで食い下がるのに、いや食い下がって依子の地雷に触れたからこそ「恋なんて無価値です。結婚は愛情ではなく、理念が合致した相手とするべきなんです。これ以上幼稚な恋愛至上主義的価値観をわたしに押し付けないでください」とばっさりふられる鷲尾くん。
この時の絶望に満ちた鷲尾くんの表情!うるんだ瞳で見上げて、捨てられた子犬のよう!!!!!うわああああああああせつない!!!!!
せつなさが乗り移って泣きそうになりました。
こんなせつない表情ができるなんて!!!!鷲尾くんの切なさに泣きたくなるし、裕翔くんがここまで繊細な表現をするということにも泣きそうになります。
そして部屋から出ていって外で泣いてる鷲尾くん。鷲尾くん泣き虫!!!!なんて素直で可憐でキュートなんだ!!!!!!
しかしこの場面は本当にすごい。「恋なんて無価値」だとばっさり鷲尾くんをふる時に、依子さんは目を見ないで言っている。そしてこのあと巧さんのことも追い返す。依子さんが恋というものに関して揺れているのがはっきりとわかる。


傷心の鷲尾くんのカラオケ!今度はザ・ピーナッツの「恋のフーガ」。ドラマのオープニングテーマはザ・ピーナッツのの「ふりむかないで」ですから。もはや主題歌を歌うのと同等ですよ!!
「追いかけて追いかけてすがりつきたいの」と力なく歌う鷲尾くん。うう、かわいそう。すっかり傷心しているのに「諦めるしかないんだ」「でも自分は決めたんです。あの二人のことを心から祝福するって」と語る。
鷲尾くんいいやつ!!!!!本当にいいやつ!!!!!!自分はハイスペックなのに、人を見下さない鷲尾くんの善良さ!!!!!!すてきすぎる!!!!!!


ここでまた現在に戻り、ぐだぐたな結納に。この場面で現れる依子お母さんは、お父さんに見えてる「家族思いの良妻賢母」なお母さんなのですね。依子に見えてるシニカルで女の余裕たっぷりのお母さんとはだいぶ違う。この表現の仕方も本当におもしろい。同じ人でも、誰に目に映るかによって全然違う性格に見える。でも人間てたぶんそういうもの。


谷口家での結婚のお祝いのたこ焼きパーティ。たこ焼き頬張る鷲尾くんきゃわゆい。
バレンタインを「一年でもっともくだらない」と断じる巧に対し、「依子さんだってチョコをあげたりしたいはず」とそれでも夢見がちな鷲尾くん。
依子さんのことをわかったつもりの巧に対し「わかってないのはあなたかもしれない」と挑発。これは、鷲尾くんの思い込みであり、鋭い洞察でもあります。しかしこれが巧が依子を理解するためのいいパスになってしまう!てゆうか、鷲尾くんの言動はすべて「依子と巧の恋」を動かすキューになってる。恋すればするほど報われない方向にいってしまうせつない!!!!
「鷲尾くんはチョコたくさんもらったでしょ?」の質問に「好きな人からはなかなかもらえなかった」と答えるのかっこいいね!!たくさんもらったことは否定しないのさすがすぎます!!!さすが、社長に「姪がきみのファンで」と言われてもなんの動揺もしなかったモテ男は違う。でもなんで彼女いないの?それは変わった女が好みだからだね!!!なぜか説得力がある!!
ここでヤンキー兄弟それぞれの思いが明かされて、ここもすごく良かった。それぞれにせつない。大暴れしたお兄ちゃんを取り押さえて、「幸せになってください」と祝福して帰る鷲尾くん、ちょっと男前がすぎる。


ここでまたぐだぐたな結納。マックイーンの悪夢再び。わろた。この親にしてこの子あり。
そして結納を交わす時、人の目を見て話せない巧がお父さんの目を見て話している。巧って人の目を見て話せないんじゃなかったっけ。そういえば、依子とも自然と目を合わせて話してる。このあたりで、巧が依子と依子父との関係を築けていることがわかる。ふたりの距離は確実に縮まっている。そうですね、鷲尾くんがヘビの太郎に付き添ってる間に距離縮まったんだもんね。うう、鷲尾くんせつない。
一方鷲尾くんは傷心ボウリング!!!かっこいい!!!!!投球フォームがきれいすぎる!!!!さすが剣道の達人でございます!!!!!!!


そしてついにチョコを買ってくる依子さんですよ。チョコを渡そうとして渡せない依子さん。
そこには依子のお母さんへの複雑な気持ちが絡まっている。両親を見て恋愛に憧れている。でも恋愛感情を持つことができない。恋愛できない自分は母に負けてるというコンプレックス。その整合性をとるために恋愛はくだらないと思い込む。理念で結ばれた結婚でうまくいけば、母に勝てる。だからその信念は曲げたくない。でも実は(それと知らず)巧に恋心を抱いている。巧とは理念で結ばれてるから、理念を曲げたら巧とは破綻する、だからその意味でも曲げたくない。でもやっぱりチョコは渡したい。その複雑な乙女心が!無粋な説明なしに表現されていて、それがあの依子さんの涙に凝縮されている。
このシーンも本当にいいシーン。
「あなたが本当にしてみたいのは恋だからです。だから泣いてるんです。」と依子の気持ちを汲み取る巧。
なに心通わせてるんだ!!!!鷲尾くんのいないところで!!!
と思ったら
「渡してきなよ、きみとちゃんも恋してくれる人に。僕にはきみから受け取る資格はない。彼は違う。彼はきみに恋してる。彼と等号になるかはきみ次第だよ。彼とならできるかもしれない、きみと恋が」と言い出す巧。
うあああああああああああああ鷲尾くんが出てきた!!!!!!!
こっぴどくふられた鷲尾くんがまさかの急浮上!!!!!うわああああああってちょっと叫んじゃったよ。
そして婚約破棄する巧と依子。こんなハートウォーミングな婚約破棄シーンあるか!?お互いの気持ちを確認して、心通いあったからこそ、「理念によって結婚する」という当初目的が果たされなくて別れるふたり。うう、せつない。


依子に呼び出される鷲尾くん。
みなとみらいの夜景が見える場所で好きな女を待つ鷲尾くん、この画にときめきしかない!!!!!なんというときめきシチュエーション!!!!そして好きな女から「恋が、してみたいです」と大逆転の告白!!!!
うああああああああああ鷲尾くんのターンきたこれ!!!!!!!
ここで来週へ続くですよ。
来週の予告のるんるんデートする鷲尾くん激かわゆいいいいいいいいいいいいいい
恋に浮かれる鷲尾くんかわいすぎるうううううううううううう。うああああああああ鷲尾くん良かったねええええええええ。氷上を颯爽と滑るのかっこよすぎるうううううううううううう。楽しみすぎるううううううううううう。
でも、大逆転勝利をおさめたけど、でもさ、わたし思うんだけど、てゆうかドラマ始まる前から思ってたけど、視聴者の98%も予想してると思うんだけど、
鷲尾くん、きっと最後はふられるよね?
わかってる!いや、違うかもしれない!でもたぶんきっとそう!!!!だってこれなんだかんだ言って王道月9だから!!なんて不憫なんだ!!!浮かれてれば浮かれてるだけ、恋が叶わなかった時の絶望も深くなるはず!!!鷲尾くんに待ち受ける未来を想像するとそれだけでせつない!!!!!


鷲尾くんのるんるんデートが見られる来週も激楽しみですが、でも今回も本当にいいお話だった。
今回は、ヤンキー兄の心情告白のシーンがとてもよかった。なんでこんなに巧を応援するのか、それでいて鷲尾くんをけしかけたりするのか、という疑問を鮮やかに解いてみせる。このお兄ちゃんはたぶん普通に友達思いで面倒見のいいいいやつなんだと思う。そうでなきゃここまでやらない。工務店やって町内会長までする責任感の強いやつだし。でもそれだけじゃない、巧に対してコンプレックスも抱いてる。ニートということに対する蔑みや優越感、うまくいかなければいいのにと思う気持ちがある。妹思いだから、妹の恋は報われてほしいと思ってるけど、でも幸せになるなら相手は巧がいいとも思わないし、ふたりがうまくいくのはちょっとおもしろくないとも思ってる。そういう複雑な気持ちが表現されていてすごくぐっときた。
このドラマは、主人公の心情もめちゃくちゃ丁寧に描かれてるんだけど、脇役の人たちにもちゃんとそれぞれに筋の通った物語がある。人の気持ちって複雑で、矛盾する思いを同時に抱えたりする。その間で揺れ動く。その複雑さをちゃんと描いている。
鷲尾くんもそうで、依子には幸せになってもらいたい、依子が巧のことを好きであると薄々は気づいている、でも自分の恋を成就させたい、それらの思いの間で揺れ動いている。基本的には真面目で誠実で、ちょっと押し付けがましいところがあるというキャラがぶれない上で気持ちの揺れがある。だから共感できる。
ヤンキー兄ちゃんが、それでもなんだかんだ言っていいやつなように、みんな基本いいやつなのも、見ていて心なごむ。鷲尾くんだって、もうちょっと冷たく嫌味なやつでも話は成り立つと思う。でも、そうじゃない、ちょっと抜けてて憎めないやつになってる。だからこそせつない。みんないいやつだからうまくいってほしいと思うし、でもそれは成り立たないとわかるからますますせつない。
そうやって脇役にもちゃんと物語があって、それでいてそれぞれの言動が絡み合って物語が成り立っていくのが凄まじい。意味のないシーンはひとつもない。しかも、基本はセリフ劇なのに、肝心のところはセリフで説明するんじゃなく、エピソードの積み重ねと役者の表情で表現している。それらが組み合わさってドラマが組み上がる。精巧な芸術品のようだ。
そして、その芸術のような脚本にちゃんと乗っかれる裕翔くんの演技力ですよ!!!!!
本当に毎回感嘆します。
回を追うごとに鷲尾くんという人が立体的になっていく。生真面目で誠実で普通に人の気持ちが読めて夢見がちで泣き虫でどこかずれてる鷲尾くん。本当にチャーミング。ひとつひとつの表情にはっとします。持って生まれた美貌も素晴らしいけど、瑞々しい演技で生み出す表情も本当に素晴らしい。毎回その完成度に打ちのめされます。


毎回同じこと言うけど、こんなおもしろい作品に裕翔くんが出ているのを見られるのが本当に幸せ!!!!