さよならも言わずに

29日の名古屋でのコンサートを見て、わたしはものすごくショックを受けました。心がべっこりとへこんだ音が周囲10メートルくらいに響き渡ったのではないかというほどに。動転しすぎて記憶が飛び飛びになっているほどです。
何がそんなにショックだったかというと、ゆうとくんが変わったことと、ゆうとくんの周りの環境があまりに変わっていたことです。具体的に起こったことは、他をあたってください(もはや具体的なことは覚えてすらいないので)。
とりあえず今の心境を語ります。
いつも電波ばりばりの妄想日記をお届けしていますが、今回は出力電波500%増量でお送りします。ご了承ください。


1年前、TENコンのスクールデイズでコントのような丸眼鏡をかけたゆうとくんがすごくかっこ良くて好きでした。あの姿を見て、「ひとむかし前の中国人みたい!!」って思いました。そこから、文化大革命で祖国を追われて亡命した身分の高い人なんだわ!普段は明るくふるまっているけどふとした時にもう帰れない祖国を思って遠い目になることがあって、その憂いを秘めた横顔にわたしは恋をするんだわ!という妄想物語を勝手に作り上げてうっとりしていました。
それ以来、中国人というのは置いておいて、ゆうとくんのことを考える時、「亡命貴族」だなというようなことをずっと考えていました。もう帰れない祖国に思いを馳せている、という気がずっとしていました。そんなイメージで妄想をふくらませていました。
そこではとても身分が高かったのでしょう、王子様だったのかもしれません。その輝きは消せるものではありません。そこでの暮らしはきっととても楽しかったのでしょう、いつもその国のことを思っていました。でもそこではない場所に来て、何らかの事情で帰れなくなってしまった。わたしはそこで彼のことを知りました。
もう帰れないその国を思う時の、その物憂げな表情がわたしはとてもとても好きでした。彼がその国に帰りたがっていることはわかっていました。だからこそそこに帰りたくても帰れないときの表情はせつなくそして美しかった。彼にとってはそれは辛いことなのかもしれないけれど、その顔があまりにも美しかったから、わたしはそれをずっと見たいと思ってしまいました。倒錯しているとはわかっていましたが、その耽美さにひかれずにはいられなかった。
でもある日彼は自分の国に帰ることを許されました。その国で何が起こったかはわたしには知る由もありません。とにかく帰れることになったのです。
彼はとても喜んでいます。それはそうです。だってずっと帰りたいと思っていたのですから。わたしはそれを知っていました。そんなに喜んでいるんですから、わたしもそれを祝福しなければいけないのかもしれません。ですが、わたしにとって嬉しいはずがありません。だってその国はわたしがいるところから遠く離れた場所だから。
きっと嬉しくて、今までそこを離れていたことなんて忘れているのかもしれません。嬉しさのあまりさよならも言わずにそれまでいた場所から去って行ってしまいました。そしてわたしはいきなり立ち去られて取り残されてしまいました。
もはや何が起こっているのかわかりません。ただ、今までいたところにいなくなっていることは明らかです。悲しいとか寂しいとかよりも、ただただびっくりして呆然としています。打ちのめされた、といったかんじです。
そんな心境です。今は。


わたしの選択肢は、わたしの知らない仲間たちと楽しくやっている姿を遠く離れた場所から見守るか、今までの美しく楽しかった思い出をひたすら懐古して生きていくか、もしくはきっぱりと忘れて新しい恋を探すか、のどれかだと思います。どの道を選ぶにしても面倒くさそうですね。
どうなるにせよ、当分はこの悲しみ中を漂っているしかなさそうです。