奇跡の意味も変わる

『Come On A My House』の通常盤カップリングには『New Hope〜こんなに僕らはひとつ』という曲が入っています。いかにもコンサート本編最後で歌いそうな、しっとりとやや壮大な雰囲気で明るい未来を歌うバラードで、実際今やっているツアーでは本編最後に歌ってます。
この曲の中に「同じ星で たった一度の出会い この奇跡はそうはない」という歌詞があります。それを聞いて、ああJUMPも奇跡のありがたみをわかるようになったんだなと思いました。
5年前、2008年に発売された『Your Seed』のカップリング『冒険ライダー』には「奇跡と呼ばせはしない ひとつずつ夢かなえていくよ」という歌詞がありました。わたしはこのフレーズが本当に好きで好きでしょうがなかったです。「なにこれ奇跡!」とすぐに言ってしまうタイプのオタクだったので、「奇跡と呼ばせはしない」という強いフレーズが心に響きました。その頃のJUMPといえばまだグループとして何も始まっていないような状態で、楽曲も歌わされてる感にあふれていましたが、とにかく素材としてのキラキラ感が異常でした。わたしはそのキラキラ感がとても好きでした。何も始まってないからこそ、「奇跡と呼ばせはしない」という強気な歌詞がはまっていました。何の根拠もなくそう宣言できる無敵さがあの時にはありました。あの無敵感は、何も知らないからこそだったのだなと今にして思います。
それが今や「この奇跡はそうはない」と歌うようになったのだから、なんだか感慨深くなってしまいます。奇跡と呼べるようなことの貴重さに気づいてしまいました。いろんなことを経験すると、当たり前だと思っていたことが当たり前じゃない巡り合わせの上に成り立っていることを知って、そのありがたみに気づいていくものですが、きっとそういうことが彼らにもあったのでしょう。ああ、歳月が確かに流れたのだなと思ってしみじみします。
もちろん歌詞のワンフレーズなので、ただの聞く方の思い入れに過ぎないのですが、どちらもそのときの状況にぴたりとはまると思えます。この歌詞が、時間が流れて少年たちは成長したということを思い知らせて、聞くとうれしいようなさびしいようなせつないような複雑な気分になります。