国立から見た風景

9月3日、国立での嵐コンに行ってきました。
本当に楽しかったです。
それだけでほとんどすべてなんですが、もう少し詳しく感想書きます。ネタばれは多少。レポではないです。


8月の公演を見た友人知人がなぜか一様に心折れたと言っていたので、そのことで期待値のハードルはぐっと下がってた。この事前情報も結果としていい方向に作用したと思う。
席は最上段から数えて4列目の本当に天空席。フラッグのポールの根元が近くに見えるような場所。ただ、想像よりも良い席だった。全体が見渡せるし、すごく遠くではあるけどメインステージもアリーナも外周も死角なしでよく見える。死角があることへの憤りと絶望感に苛まされた8月を過ごしたので、このことが本当に素晴らしく感じられた。高いから夜景も夕暮れも本当にきれいに見えるし、時折気持ちよく風も吹き抜けるし、それだけでかなりいい気分になれた。


最初が「movin' on」で、知ってはいたけど、ああオリジナルアルバム引っ提げてのツアーなんだって実感して嬉しさがこみあげてきた。メジャーなシングル曲ではじまるよそゆきのコンサートじゃない、オリアルツアーなんだって、そのことだけでうれしかった。
確かに前半はちょっと退屈だった。とにかく移動したり立って歌ったりしてるだけのことが多くて、ガツンと踊ったりはっとするような演出があったりするわけじゃない。アルバム曲の他は、いわゆるコンサートでよくやる鉄板曲が多い。
でも、なんだかわかんないけど無性に楽しくて、ああ嵐コンだなあってしみじみ思ったのもこの部分。嵐がみんなすごく楽しそうで、とにかく楽しそうで、それで本当に客席の上の方までいっぱい見渡して一生懸命手振ってくれて、そういうのって嵐だなあって思って、すごく胸いっぱいになった。思い出いっぱいある曲がこの東京の空の下で響き渡るなんてそれだけで最高の気分じゃない!?じゃない!?って思えた。去年は同じ曲やっても全然最高の気分を感じなかったから、「それだけ」なわけないんだけど、それだけで最高じゃんって思わせてくれるものがあった。むかし感じていた胸がひりつくような楽しさが感触としてよみがえってきた。
MCの途中から持ち込み企画イントロクイズがはじまって、これもクラシックテイストなんだけど、これはまあ計算されたグダグダ感というかんじでしたね。ぐだぐだ感を演出できるようにまで成長したのかホロリ、ということにオカン気分になったり。途中から悠然と出てきて専用クイズをもらい、あげく自分がメインボーカルの曲のタイトルが最後までわからないというさとしさんのおおのさとしっぷりがさすがでしたけど。大野さんはあんま喋ってなくて、たまにいじられてはおいしいところ持ってくかんじもそういえばクラシックだったかも。
この時、白い衣装に着替えてきてそれが皆さん大変おかわいらしゅうございました。衣装は全部すごくかわいかった!お金かかった衣装って本当に素晴らしいですね!!しかし、白い衣装にぐだぐだ企画…。それなんてにっこく堂!(という古参ネタ)
後半はだんだんガツっとしたかんじになってきてゾクゾクした。
サーカスは本物の動物出したりとかトリッキーなことせず、曲芸チックなことを取り混ぜつつちゃんとパフォーマンスとして魅せるもになっていて、こういうのをちゃんと入れてくるのがまさに嵐コン。キューブ型のフライングかわいいね。にのみやセンターというのも新しい構図で楽しい。しょうじゅん/あいばおおのって何かすげー弱そうな布陣で和む。
明日の記憶とかリマーカブルとかいろんな曲リミックスしてきたダンスのくだりは文句なくかっこよかった!センターの花道最高!!!真正面から見える角度ではなかったけど、かっこよさは存分に伝わった。
Monsterの、がっつりダンスして火も水も花火も全部とにかく盛り盛り!な演出も最高に楽しかった。国立だし金あるしど派手な演出もやんなきゃね!!!
最後にパステルカラーの風船がばーっと飛んでいくのも素直にきれいだなーっと思ってぼーっと見てた。
嵐は嵐のままこうやって国立まで登りつめたんだなって、そのことが単純に胸いっぱいになった。


アルバム曲は結構どれも好きなので、単純に聞けて楽しかった。「let me down」が踊りがかっこよかったのでまたじっくり見たい。「kagero」が懐かしめなJ-POPテイストですごく好きだなと思った。「むかえに行くよ」とか、あの場所で歌われるとなかなかぐっとくる。


今回はソロも新しくもクラシックだなあと思った。
個人的には二宮ソロがおもしろかった。「そうきたか!」という感じが。弾き語りで恥ずかしいこと歌いあげるという定番をやったら、その後は定期的に違うテイストにふってくるのが二宮くんですよね。今回はちょっとキュートでかわいらしいボクを演出ですか。ちびっこジュニアと二宮!なんというシュール!でもそれをファンシーにまとめてきて本当におもしろかった。
あいばソロは、おバカディスコティックをエレクトリックに演出してきてすごく楽しかった。文句なくお似合いのテイストでひたすら楽しい。でも、曲聞いて予想してきたかんじとだいたい一緒だったから「裏切られた!」という驚きはなかったかな。
あいばソロに関しては、内容よりも順番が嬉しかった。今までの、明るく楽しいあいばソロは前半のまだ明るいうちにやって盛り上げようぜっていうお約束が破られたことが。本当にわたしはマンネリを憎んでいるし、そうやって一人の人がいろんな役割を背負うことができて、いろんなパターンを見せられるのが嵐だと思ってるから、こうやって新しいパターンを提示してくれたことがうれしかった。
いちばん、これぞ嵐コンだな!と思ったのは櫻井ソロ。なんという羞恥!なにやってんの翔くん>< 恥ずかしいよ>< 自慢のなで肩そんな風にさらさなくていいよ! ってつっこめるこのかんじ。ああ、さくらいくんだな!!なにやってんのってゲラゲラ笑えて、そんなとこが本当に愛しい。
ばりばりに凝りまくった松本ソロも松本くんだなーって思ったし、他の4人があれこれおもしろいことやってくるのに一人悠然とシンプルにまとめて、その歌とダンスをがつっと見せつける大野ソロもこれぞおおのさとしって思えた。全部それぞれに楽しくて、ああ嵐だなって堪能できた。


確かに、単調な移動が多すぎだし、セトリの流れがすごくいいっていうわけじゃないし、相変わらずメインステージのでかいスクリーンでメンバーのかわいい顔も映さず意味不明なイメージ映像垂れ流すし、どうなのって思うところもあった。今回聖火台も使わないし装置としては目を見張る仕掛けがあるわけではないし(去年までと比べて)、国立というハコでやるにしては地味じゃねって思う演出も多かった。
でも、それを含めてなんだか愛しいなあと思えた。


去年のゴッテンツアーや、たとえばドリアラツアーなんかで、わたしは見ていて心が芯から冷え込むような感覚に襲われたことがあった。あれは今思うと圧倒的な疎外感だったんだと思う。初心者にもわかりやすく、今までの歴史をサマライズしてこういうことやってきましたよって提示して、あとこんなこともできますよって強めな演出で見せるコンサート。今までと違うもっと上の方を見て、新しいファン向けに作ってるんだなって思った。もちろんそれが悪いことだなんて思わない。それをやってきたからこそ今の売れてる嵐があるんだろうし、それだって嵐の本質の一部なんだと思う。でも、どうしたって寂しい気持ちになることは止められない。がっちりしたコンサートには、自分のストーリーをこっちが作って乗っける余地がない。
今回のコンサートは、そういう「余地」のあるコンサートだった。
これがどこまでクラシックというコンセプトで意図して作られたのか、リハーサルの時間が取れないという都合で生まれたのかわからないけど、結果としていいものができたと思う。リハーサルの時間がなかったわりには魅せるところはがっつり作ってあったし、現にわたしは強烈に懐かしい気持ちを感じたのだから、すべては術中にはまってるのかもしれない。なんじゃそりゃって思いながら、結局は圧倒的な迫力に息をのんで降参させられる、それが嵐コンだ。


06年のシックコン長野で、その日はジェットストーム(アジアツアーの前に各国行って記者会見)を強行してすぐの日で、その話で盛り上がってたんだけど、その時ににのみやくんが「みんな嵐がビッグになって寂しいでしょ。日本でちまちまやってる嵐が好きなんでしょ。ごめんごめん。でも大丈夫、嵐は変わんねーから」みたいなことを言っていたのが今でもすごく印象に残っている。
結局あの辺りを転換点に、ちまちまどころかバカみたいに大きな仕事ばっかりする、国民的アイドルとか言われちゃうような嵐になっていった。それ自体は佳きことだけど、わたしは日本でちまちまやってる嵐が好きだったからとても寂しかった。
今回のコンでは日本でちまちまやってた頃の嵐に会えた気がした。あの時のことを嵐は忘れてないし、わたしも忘れてない。そのことがとても嬉しかった。
きっと、そればっかりやってるわけにはいかないし、また当分会えなくなるような気がする。でもそうやって忘れてないよってことを言葉じゃなく形にして見せてくれるなら、たまにしか会えなくてもそれでいいし、また会える時まで待てると思えた。


すっごく楽しかったけど、「はああああああん萌え!!!!!」みたいなことは特になかったな。みんなビジュアル良くてキラキラしててかわいいなって思ったし、メンバー同士絡むのも「相変わらずそんなことやってんのか^^」って微笑ましく見てたけど、萌えとはちょっと違うなあと思った。ジャニヲタの文法でいえば(わたしがなんとなく思ってる定義では)もうわたしは嵐ヲタではないんだろうし、そういう意味ではむかしからヲタではなかったのかもしれない。それでも、そんなものどうでもよくなるくらいわたしは嵐が好きだったし、今でもやっぱり好きだ。それを確認できたから、今は本当に泣きたいほど幸せな気分。