裕翔くんについて語る時に、裕翔くんの語ること

Myojoの10000字インタビューが4か月前からJUMPのターンとなり、発売されたばかりの4月号では裕翔くんのインタビューが載っています。
というわけで雑誌を手にしたその日にインタビューを読みました。読み終えて、わたしはとても動揺しています。動揺というのも変ですが、何かちょっと言葉にしづらい感情に襲われています。感動もしたし戸惑いも覚えてし、いろんなことを考えさせられます。


10000字インタビューは、なかなか他の雑誌などでは語られないセンシティブな内容に触れたりすることもあり、ファンの間で物議をかもしたりかもさなかったりする独特の企画です。踏み込み方はそれぞれで、かなり深いことを語る人もいれば、いい意味でさらっと終わる人もいます。いずれにせよ、内面を語るということで読む方にもちょっとした覚悟が求められる企画です。
わたしは裕翔くんの10000字を読むのはそんなに怖くなかったです。
裕翔くんは普通のアイドル雑誌のインタビューでも心の内を素直に語る人です。基本的に「かわす」ということはしないで、いつでもド真剣に答えてくれます。だから、10000字インタビューだからといってそれほど普段の違うことを語ったりはしないだろうと思っていました。なんなら、こういうことを言うだろうと予想がつくわ、くらいのことを思ってました。今思えば、高を括っていたのです。きっと、今まで言ってない知らないようなことを言うことはないと。知っていることばかりで、「いつでも素直に心情を吐露する裕翔くんかっこいい!」と言う準備ができてました。もし知らなかったことが出てきても、それはそれで「今までおくびにも出さなかったなんてかっこいい!」ってことになるし、それもそれでかっこいいからどっちでもいいなと思ってました。だから読む前はそんなに怖くなかったです。


でもインタビューは予想外なものでした。
そんなこと思ってたなんて知らなかった!ということがあったわけではないです。今まで裕翔くんが語ってきたことと、そして語らずとも想像がつくことと、それほど離れているわけではありません。でもそれらが想像以上に生々しく語られていました。語られるエピソードの生々しさが予想外で、胸をざっくりと抉られましたた。
平たくと言うと、事務所に入ってすぐに推されてそれが当然だと思っていたジュニア時代から、JUMPとしてデビューした後、立ち位置が下がり仕事も減ってさらにメンバーとの関係も悪くなるという苦難の時代を経て、それらを克服した今に至る、ということです。
そうなんだろうなとは思ってました。「デビューした後仕事が減って焦った」「立ち位置が下がって悔しかった」「メンバーの中で埋もれないように特技の習得に励んだ」というようなことは雑誌などのインタビューでまま語っていました。そうやって悩んでいたことは知っていました。でもその悩みの深さが、今回のインタビューではもっとずっとクリアな形で示されています。そんな言葉を使うのかという鮮烈な言葉が使われてます。そして、さすがにそこまでは今まで語ってなかった、メンバーとの軋轢にまで踏み込んでいます。仕事のことと人間関係のことがスパイラルのように絡み合って、裕翔くんの傷がどんどん広がっていったことを、本当に生々しく話しています。こんなにもはっきりと語るのかと驚きました。
読んでいて本当に胸が痛かったです。裕翔くんが抱えていた傷も孤独も葛藤も鬱屈も、想像以上に深いものだと知りました。
わかっていたように思っていたけど、本当は何ひとつわかってなかったのだと思い知りました。裕翔くんははたから見るよりもっとずっと深い絶望の淵にいて、そこでもがいていたのです。本当にわたしは何もわかってませんでした。
その深い絶望の淵から、裕翔くんは這い上がってきたのです。乗り越えてきたものの大きさに改めて感じ入ります。


自分が感じたことを、こういうエピソードを交えて語るということにも驚きます。語れるということは、それらを過去のものをして消化しているということです。それほどの成長をしたということにまず驚きます。そして、それを語る描写力にも驚きます。自分のその時の状況をわかりやすく示すエピソードのチョイスや、言葉のチョイスが秀逸です。もちろんインタビュアーとのやり取りの中で出てきたことでしょうが、思っていたことがわかりやすく伝わってきます。そうやってわかりやすく伝えられるスキルがあることに感心してしまいます。だからこそ痛ましさもダイレクトに伝わってきます。
でも、語り口は生々しいけれど、語っている裕翔くんに痛々しさはありません。もうそれらを乗り越えているからです。痛みをを過去として語る語り口は清々しささえあります。
率直さは相変わらずだけれど、そのやり方はもっとずっと洗練されてきています。大人になったとは思ったけれど、もっとずっと大きく成長していたのです。本当にかっこいいのですけど、わたしが今まで「裕翔くんかっこいい」と言ってきたその枠組みを遥かに超えすぎていて、もはや軽々しくかっこいいとも言いづらいほどです。かなりの戸惑いを感じます。


それにしても、裕翔くんが受けていた傷の深さは衝撃的でした。わたしはずっと裕翔くんを見てきたつもりだけど、何も知らなかったのだと思います。そして、変な感想ですが、裕翔くんも人間だったんだなと思います。アイドルというのは見ている者にとっては半ば幻想の世界の人で、その幻想を楽しんでいるわけですが、実際は生身の男の子なわけです。生身だから、些細なことで傷つく。そのことを、わかっていたつもりだけど、わかってなかったなと思います。
そのことを思うと、ちょっと罪悪感を覚えます。アイドルファンは、タレントが壁にぶつかってそれを乗り越える姿を楽しんで見るというところもあります。それはある意味、アイドルを見るものは、少年が傷ついて姿を見て喜んでいることでもあるわけです。アイドルはそういう背景の物語もコンテンツとして売っているのだから、消費者としてそれを楽しむ権利はあるのですけど、相手は生身の人間です。特に仕事として割り切るには幼い子どもである場合、それを見ることはある意味で残酷なことであるなと思います。もちろん見ることは応援しているというでもありますが、そればかりでもないわけです。そんなことを考えさせられてしまいます。


このインタビューも含めて、最近の裕翔くんを見ていると、自分に関して語る時にどのように語るかが変わってきたなと思います。たとえば、10000字にもありますが、小さい頃「現実的だった」と言うようになりました。以前はあまりそういう表現を使っていたことはありません。小さい頃に起こった出来事自体が変わるわけはないのですから、それを振り返ってどう解釈するかが変わったのでしょう。そういうことが随所にあります。10000字全体からも、起こったエピソードがどういうことだったか、それを他人はどう見ていたか、そこから物事がどう変わっていったか、解釈する裕翔くんの目が変わってきたことがわかります。裕翔くんの物事を捉える枠組みが大きく変わっていってるということです。


裕翔くんが変わっていったように、裕翔くんを見るわたしの枠組みも変わらなければいけないのかもしれない。そんな風にも思います。もうわたしの抱えていた偏狭で小さな枠組みでは裕翔くんは捉えきれない。もうそんなところにはとっくにいないということを知らされた気がします。


まとまらないですが、大きな衝撃を受けて、たくさんのことを考えさせられるインタビューでした。
ただ、10000字という場所でこうやって胸を抉るようなことを語ってくれる率直さは、変わらない裕翔くんで、そこについてはしびれるほど嬉しいです。裕翔くんの率直さは、本当に気高く美しいです。