ジャニオタライフ ゴーズ オン

現在帝国劇場ではジャニーズワールドという舞台が絶賛上演中です。
ジャニーズワールドは、その名の通りジャニーさんの世界です。ジャニーさんのギネス記録の記念公演と銘打たれていますし、雑誌などでも「ジャニーズのすべてが詰まっている」と紹介されています。ジャニーさんの脳内そのものなのでしょう。
源平合戦忠臣蔵といった時代劇、シェイクスピア、ウエストサイドストーリーやその他ブロードウェイミュージカル、今までの帝劇ジャニ舞台、ど派手な舞台セットに上空を飛び交うフライング、そして何よりびっしりとステージを埋める美少年たち。全部ジャニーさんの好きなものなのでしょう。それらがこれでもかと詰め込まれています。"My favorite things"を高らかに歌いながらアルプスの山を駆け踊るジャニーさんの姿が見えるようです。自分を投影させた薮プロデューサーの昇天場面は、こういう風に天に召されたいという願望そのものです。そして一方で山田くんに「人間は死んではいけない!」と言わせて、あと500年は生きたいという生への執着をもあらわにしています。
好きなものを並べ、愛する美少年たちに自分を称賛させて、最後には「これからもジャニーズを愛してください」と言わせています。本当にジャニーさんの世界そのものです。
そんな濃密なジャニーの脳内ダンスであるこの舞台をわたしも観に行っているわけですが、この舞台を見るとふと思います。
わたし、ジャニーズってそんな好きじゃないかもしれない、と。
これが「ジャニーズのすべて」なら、わたしジャニーズそんな好きじゃないなあ、と。真剣に思うんですよ、まじ本気まじで。
でも、思う端から自分でツッコミいれたくなります。いや、おまえジャニーズ好きじゃないとかどの口が言ってるんだ!!??
そんな感じの逡巡を、この舞台を見るたび覚えます。自分にとって「ジャニーズ」とか何なのかというのを問われてる気分になります。


そうですね、わたしジャニーズ好きですよ。もはや気がつけば10年以上好きです。まったりな時もがっつりな時もありましたけど、こんな風にネットの片隅で何年もせつせつとジャニーズのタレントやコンテンツに対して語り続けている程度には好きです。
たとえばスマップや嵐など「国民的」と称されるレベルで人気が出ると「ジャニーズは好きじゃないけどスマップ(もしくは嵐)は好き」と言うようなファンがたくさん出てきます。そういうようなファンがつくかどうかが広く人気の出る鍵であったりします。ジャニーズというのはそのような独特のくせのある世界です。わたしはむしろそのあくの強いジャニーズらしさというものが好きです。ジャニーズジュニアをバックにつけて、その中からまた次の世代のアイドルが出てくるシステムが好きです。何より美少年が煌びやかな衣装を着て歌って踊るという図はいつ見ても素晴らしいと思います。今までジャニーズが好きということに疑いを抱くことなくジャニーズタレントを愛でてきました。
それが、その名もジャニーズワールドという舞台を見て、それが揺れています。
わたしジャニーズそんな好きじゃないかもしれない、と初めて思いました。いやいやおまえ何を言っているんだ、いやでも、うーーん…というループです。
問題はシンプルなんです。要するに、ジャニーズワールドという舞台が個人的にそんなに好きじゃないってだけの話です。
別に嫌いじゃないです。楽しいし華やかだし。演者の皆さんが一所懸命に、時には過剰と思えるほどの懸命さでこれに取り組んでいるのはわかります。そこには敬意を払います。嫌いじゃないですけど、そう何度も見たいと思える内容ではないんですよね。脚本も、台詞の意味を深く掘り下げて考えてみたいと思えるものではないです。
…じゃあ何度も見る必要はないのでは?
という疑問が頭をもたげます。その通りです。というか普通は舞台って一回見ればそれでよくてそう何度も見るものでもないらしいですね。いやでも普通ってなんでしょう。裕翔くんかっこいい゜・*:.。..。.:*・゜という気持ちだけをかばんに入れて海まで越えたわたしにとって普通であることに何の意味があるでしょう。というか普通の生活を普通に楽しめるアビリティがあったらこんなことしてません。
それは置いておいて何度も見る必要はないのではという件ですけど、そう、問題は、そこにいけばこの世でもっとも美しい少年がいるということです。この世でもっとも美しい少年こと中島裕翔くんのお姿が生で拝めるんですよ、行かない意味がわからない!!!うんそうですよね!!!!
と、思って行くわけです。でも行くとやっぱり、この舞台あんま好きじゃない…と思っちゃうんですよね。綱渡りとか空中ブランコとかコントとかをながめながら「何をしているんだろうか、わたしは…」と無駄に深淵に人生について考えてしまったりします。綱渡りも空中ブランコも、それはすごい技だしそれを毎日やっているのは大変なことだと思います。コントもそれはそれで真剣にやっているのはわかります。でも繰り返し見てるうちに「なぜわたしはこんなところにいるのだ……?」と不思議な気分になってきます。
それでも最後に裕翔くんが出てくると「ああああああなんてかっこいいんだろう!!!!!!こんなかっこいい人を思う存分眺めていられるなんて何という僥倖!!!!生きてて良かった!!!!!!」と心から思います。その意味ではじゅうぶんにペイするのでいいんですけど。
いいんですけど、この舞台を全肯定はできないわけです。でもこの舞台がジャニーズのすべてなら、ジャニオタとしてそれを否定しちゃいけないような気もします。そんな気にさせられます。この舞台はそういう妙な強迫観念に溢れています。そして最後の挨拶に「これからもジャニーズを愛してください」なわけです。そうか、ジャニーズを愛さなきゃいけないのか、ということはこれも肯定しなきゃいけないのか。え?そうなの?それはちょっと。でもそれはちょっとは許されないのもしかして?と、たじろぎます。
好きなタレントのする仕事がいまひとつ好きになれない、というのはよくあることです。それはそれとして受け止めればいいと思います。でもジャニーズワールドはあまりにもジャニーのワールドです。これを否定して、でもジャニーズのタレントが好きというのは矛盾してるのでは?という疑問に突き当たります。
たぶんそんなことはないのでしょう。そんなことないとは思います。でもだからと言って、舞台を見た時の違和感は拭えません。こういう舞台が好き!と思えた方がずっと楽になると思うのですが、そう簡単に好みというのも変わりません。でもいったいどうしたらいいでしょうか。
そんな逡巡を抱えているという現状です。
濃密過ぎて胸焼けしてるってだけかもしれません。というか単に、裕翔くんの出番が少ないぷんすこ!というだけの問題な気もします。
美しい少年を愛でたいというだけなのにちょっと深入りしようとするといろいろと余計なものを抱えてしまいますね。


なぜこんなことをわざわざ書いているかと言えば、今のこの心境がまた来週からは変わるかもしれないからです。記録として残しておこうというところです。
来週からラジオが裕翔くんのターンなんです!そして年末にかけて現場も増えます!そう、悩んでいる暇はなくなります!暇だから悩んでるわけでもないですけど、暇だから悩んでる部分もきっとあります。だからたぶんこんな鬱屈も忘れていくでしょう。
何となくもやっとした思いも抱えつつ、それでも姿を見れば幸せになるし、声を聞けば嬉しくなってしまうわけです。何だかんだ言いつつも、現場には行くし、メディアもチェックしていきます。ていうか今は裕翔くんの10代最後のシーズンですよ!今本気出さないでいつ本気出すというのでしょうか!
そうやってジャニオタライフは続いていくのでしょう。ショーマストゴーオンだしライフゴーズオンです。わたしの生活はジャニーズを中心に回っていくのだと思いますこれからも当分は。
なんだわたしめっちゃジャニーズを愛してるな。
知ってましたけど。